みなさんは、何でものを見ていますか?
「そんなの『目』に決まってるじゃない!」という声が聞こえてきそうですね。
確かにわたしたちは、『目』でものを見ています。
でも、『目』は、本当になんでも見ることができるのでしょうか?
たとえば、真っ暗な部屋の中ではどうですか?
自分の手ですら、目の前に持ってきても、見ることができません。 そこに手があることは (なにしろ自分自身の手ですからネ) もちろん分かってはいるけれど、『目』では見えないのです。
それはなぜでしょうか?

答えは、「光がないから」、です。
人間の目は、光がなければ、何も見ることができないのです。
物が物として見えるのは、それは、その物に「光」が反射するからです。 この光の反射がなければ、どんなものも、目には映りません。
また、みなさんは、雨上がりの日に空にかかる虹を見たことがあるでしょう? 虹は七色をしていますが、あの七つの色は、人間の目に見える光の色なのです。 しかし、あの七色に見える光だけが光全体ではありません。 人間には見えない領域があって、たとえば紫外線や赤外線、X線などがそれです。 しかしこれらも、今の科学で判明しているものに過ぎません。
話を次に進めましょう。
こんどは、「音」の話です。
みなさんは、音は『耳』で聞いていますね?
それでは、音とは何でしょうか?
音は、空気の振動で伝わります。 わたしたちの耳には、その振動を感じ取る器官がそなわっているので、さまざまな音を聞くことができます。

振動というのは、左右や上下に震えることですが、この震え方には、速い震え方や遅い震え方があります。 音が空気を振るわせる震え方にも、いろいろな速さがありますが、人間の耳には、ある一定の速さで震えて伝わる音しか聞こえません。 たとえば、あまりにも速く振動する音は、高過ぎて聞こえませんし、逆に、あまりにも遅く振動する音は、低すぎて聞こえません。
『鼻』についても、同じようなことが言えます。
人間の鼻には、実にいろいろな匂いが分かりますね。 おいしそうなクッキーが焼ける匂い、うっとりするようなバラの匂い、海の近くの潮の匂い、若葉が芽吹く頃の新緑の匂い、・・・・・こういういい匂いとは反対に、生ゴミの腐った臭いや、トイレの臭い、誰かさんのオナラの臭い…など、あまり嗅ぎたくない臭いもあります。

でも、こんなにたくさんの匂いや臭いが嗅げる人間の鼻も、動物の鼻には負けるでしょう。
みなさんは、警察犬を知っていますか? 犯人が残していった物の臭いから、犯人が今どこにいるかをつきとめていく警察犬の嗅覚は、それはみごとなものですよね。 人間には、とてもまねができません。
さあ、どうですか?
人間の目や耳や鼻は、確かにすばらしい器官ですが、でも、限界もありますよね。
こんなふうに限界があるもので、見たり、聞いたり、におったりするものだけが、この世界のすべてでしょうか?
よく考れば、そんなことはとても言えませんよね?
わたしたちの目に見えなくても、耳に聞こえなくても、鼻ににおわなくても、存在しているものは、この世には無限にあるのです。